放流とは?/ レイク
[ 224] 日本魚類学会
[引用サイト] http://www.fish-isj.jp/info/050406.html
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2004年6月19日に東京海洋大学で開催されました日本魚類学会公開シンポジウム「淡水魚の放流と保全ー生物多様性の観点から」を契機に,魚類学会において「魚類の放流ガイドライン」の策定が必要であるとの合意が自然保護委員会でなされました.これを受けて,本委員会のメンバーである森,渡辺,前畑の各氏と三重大学の原田泰志氏を中心としたガイドライン作成のためのワーキンググループ(WG)が委員会内に作られました.それ以降,このWGで活発に論議・検討が重ねられ,2005年1月初旬に「生物多様性の保全をめざした魚類の放流ガイドライン(案)」が作成されました.このWG案を基に自然保護委員会で検討し,2月初旬に改定案(自然保護委員会案)が確定された後,役員会を経て,評議員のメンバーに賛否が諮られました.本自然保護委員会案は一部の修正をもって2005年3月26日に評議員会での承認が得られた次第です. 基本的な考え:希少種・自然環境・生物多様性の保全をめざした魚類の放流は,その目的が達せられるように,放流の是非,放流場所の選定,放流個体の選定,放流の手順,放流後の活動について,専門家等の意見を取り入れながら,十分な検討のもとに実施するべきである. 放流の是非:放流によって保全を行うのは容易でないことを理解し,放流が現状で最も効果的な方法かどうかを検討する必要がある.生息状況の調査,生息条件の整備,生息環境の保全管理,啓発などの継続的な活動を続けることが,概して安易な放流よりはるかに有効であることを認識するべきである. 放流個体の選定:基本的に放流個体は,放流場所の集団に由来するか,少なくとも同じ水系の集団に由来し,もとの集団がもつさまざまな遺伝的・生態的特性を最大限に含むものとするべきである.また飼育期間や繁殖個体数,病歴などから,野外での存続が可能かどうかを検討する必要がある.特にそれらが不明な市販個体を放流に用いるべきではない. 本ガイドラインの対象は,希少種を中心とする魚類の放流であり,その目的は地域集団(個体群)や生物多様性(※1)の保全である.放流は自然復元のための一つの手段であり,科学的・合理的根拠に基づいて実施されるべきである.本ガイドラインは,放流に関わる者が放流を行うことによる保全上の有効性を検討し,有効と判断された場合に,適切な放流集団を選択し,適切な場所に,適切な方法で放流するための指針である. 本ガイドラインを作成するに至った背景として,希少種や自然環境の保全をめざして,メダカやコイを含む魚類の放流が各地で盛んに行われている現状がある.残念ながら,これらの放流は,本来の生物保護や生物多様性の保全に役立っていなかったり,むしろ有害な場合すらある.国際自然保護連合が再導入のためのガイドライン(※2)にまとめているように,生物多様性の保全を目標とした放流は,自然復元プログラムとして位置づけられるべきである. なお,本ガイドラインは,主として野生集団の保全を目的とする放流のためのものである.それ以外の目的を含む水産業やレジャー,ペット投棄などに伴う放流行為を対象としない.しかし,これらの放流も,生物多様性の保全に反して実施されることは望ましくないため,共通する検討事項は多いはずである. 種は一般に複数の地域集団(個体群)から構成される.地域集団は個々に異なる歴史的背景をもち,遺伝的分化を遂げつつある進化的単位である.したがって,放流は歴史的産物である集団の本来の姿を損なう可能性があり,自然環境の保全と相反する行為となりうる.放流が保全上有効な手段であることが予測・説明されない限り,安易に実施するべきではない. しかしながら,希少魚や地域集団,ひいては群集の保護・保全のために,むしろ放流を促進すべき状況がありうる.例えば,人間活動によって直接・間接的に地域集団や群集がすでに大きく損なわれ,自然集団の維持や再定着のためには,人為的にそれらを復元したり,その補助をすることが求められる場合である.そのための手段としての放流は,上記の問題点に留意し,それらを解決した上で実施されなければならない.また,放流による集団の維持・保全の成功のためには,時間および人的・経済的コストがかかることも認識しておく必要がある. それ以外の場合,つまり,絶滅の危険性が低い在来集団の生息場所に放流を行うことは,保全上の意義よりも悪影響が大きい場合があるので,放流以外の保全策を検討すべきである.例えば,分布生息状況や生息条件(水質,すみ場所,捕食者など)の調査,減少要因の解明,生息環境の保全管理と改善・整備,継続的な啓発活動などである. 在来集団および放流個体について,事前に十分な分類学的な検証を行うべきである.もし分類学的に未解決な問題が残った状況で放流を進めざるえない緊急な場合には,今後の分析のために形態および遺伝分析が可能な標本を保存しておくべきである. |
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